金庫開錠

金庫の開錠にもいろいろなケースがあります。
よくあるのは金庫の中の書類を今すぐ使いたいがカギがないので開けて欲しいという依頼です。
これは普通の依頼です。

シリアスな場面での依頼もあります。

例えば金庫の持ち主がなくなった時。
お葬式が済んでからまずすることといったら財産の分与です。
親族が集まる機会というのもなかなかないのでこの機会にやってしまうということも多いです。
お通夜の席で金庫を開ける、なんてこともあります。
そしてそういった依頼の時は作業のプレッシャーも大きくなります。
そんなに難しくない金庫の開錠でも、親族の皆さんがじっと見つめていたりすると作業がとてもやりづらくなります。

金庫が開いた瞬間は大変です。
親族の方々が一斉に金庫に群がります。
他人である鍵屋がその場にいてもそっちのけです。
金庫に入っているのは現金ばかりとは限りません。通帳や株券、土地の権利書などが出てくることもあります。

あらかた金庫の中身を物色した後、ようやく鍵屋の存在に気づいてくれる人がいます。
支払いがまだだったことを伝えてお金を受け取り、そそくさとその場を立ち去ります。
あまり見たくない人間の裏の顔が見れるのも鍵屋の仕事の特徴です。仕事だと割りきってお金だけしっかり受け取って帰るようにしています。