びっくりしたこと

鍵屋をしていると本当にびっくりするようなことに何度も遭遇します。
そのうちのひとつを書いてみようと思います。

安否確認という仕事があります。連絡の取れなくなった人の安否を確認するため、家を開けるという仕事です。
依頼者が本人ではない場合には警察の立ち会いとなることもあります。

今回の依頼はマンションの一室で異臭がするのでカギを開けて欲しいというものでした。
この時点でなにやら嫌な予感がします。
異臭ということですから、マンションの中の人はもう亡くなっているのではないかと予想されます。

現場に近づくと確かに異臭がします。しかし、このような依頼が多い鍵屋だからわかることですが、このニオイは人が亡くなった時のニオイではありません。

ともかく強烈なニオイがすることは確かなので依頼通り開場します。
開錠した後は現場の第一発見者にならないようにすぐに後ろに下がって中を見ないようにします。

警察の人が中を確認しますが、どうやら死体はないようです。しかし、中には大量のゴミがあったということです。
どうやら誰かがこの部屋を不法に占拠して住み着いていたということです。
わたしは中をはっきり見たわけではありませんが、ドアが開いた瞬間に部屋の中から黒い虫がたくさん飛び出してきたので相当のゴミの量だったということでしょう。

金庫開錠

金庫の開錠にもいろいろなケースがあります。
よくあるのは金庫の中の書類を今すぐ使いたいがカギがないので開けて欲しいという依頼です。
これは普通の依頼です。

シリアスな場面での依頼もあります。

例えば金庫の持ち主がなくなった時。
お葬式が済んでからまずすることといったら財産の分与です。
親族が集まる機会というのもなかなかないのでこの機会にやってしまうということも多いです。
お通夜の席で金庫を開ける、なんてこともあります。
そしてそういった依頼の時は作業のプレッシャーも大きくなります。
そんなに難しくない金庫の開錠でも、親族の皆さんがじっと見つめていたりすると作業がとてもやりづらくなります。

金庫が開いた瞬間は大変です。
親族の方々が一斉に金庫に群がります。
他人である鍵屋がその場にいてもそっちのけです。
金庫に入っているのは現金ばかりとは限りません。通帳や株券、土地の権利書などが出てくることもあります。

あらかた金庫の中身を物色した後、ようやく鍵屋の存在に気づいてくれる人がいます。
支払いがまだだったことを伝えてお金を受け取り、そそくさとその場を立ち去ります。
あまり見たくない人間の裏の顔が見れるのも鍵屋の仕事の特徴です。仕事だと割りきってお金だけしっかり受け取って帰るようにしています。

ユーザビリティ

カギをこれから交換しようと思っているのでしたら、単に防犯性が高いだけではなく、使いやすさのことまで考えてカギを交換することをおすすめします。

例えば、最近は電子錠がよく使われるようになりました。
電子錠は便利と言われていますが、使う人によっては不便にもなる可能性があるのです。

ホテルで使われているようなカードキータイプの電子錠は特に使う人を選びます。
お年寄りだとカードを通すという作業に慣れていなかったりするのでとても使いづらかったりするのです。目が不自由だとカードを通す溝が見にくかったり、手が動かなかったりしてうまく使えない可能性があります。

また、カードに穴があいているタイプのものだと必ずしも防犯性に優れているというわけでもありません。

カードキーでケイデンというメーカーから出ているものがあります。
これはピッキングができなくなっていますし、鍵交換の手間も少ないということでメリットも大きいです。
しかし、磁石を使っているタイプのカードキーですので、磁石が弱まってくると使えなくなります。それに、クレジットカードと一緒に財布に入れておくことができません。
また、カードを押し込んで回転させるという動作がお年寄りや子供には難しい可能性があります。

こんな手法

不法開錠の手口というとピッキングがよく知られています。
ピッキング対策がされているカギを使用している人も多いかもしれません。
ピッキングは特殊な工具を使って鍵穴を引っ掻いてカギを開けるという手法です。カギ屋も開錠する時にこの技術を使用して明けています。

このようなピッキングをするためにはある程度の技術が必要になります。

しかし、特別な技術がなくてももっと簡単に明けられる方法があります。
それがバンピングという方法です。
この手法なら特別に練習したりしなくても工具さえあればカギをあけることができてしまいます。

バンプキーというカギをシリンダーにさしてそれをハンマーでこんこんと叩く、たったのこれだけでカギを明けられるのです。
ピッキングが不可能と言われているディンプルキーでもこの方法で開けられるものがあります。

しかし、バンピングも完璧な方法ではありません。
カギによってはひとつの工具では明けられなかったりします。いろいろなカギを開けようと思ったらそれだけたくさんのバンプキーを用意しなくてはならないのです。

最近ではバンピング対策がされているディンプルキーも多数出ています。ゴールのV18やカバスターネオ、ロイヤルガーディアンなどがそれにあたります。